炭素繊維強化複合材料の損傷蓄積挙動の解明

炭素繊維強化複合材料(CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastics)は、炭素繊維を樹脂(プラスチック)で固めた複合材料であり、軽量かつ高比強度・高比弾性を示すことから、航空宇宙分野だけでなく自動車産業など幅広い分野で用いられています。しかしその複雑な構造より、損傷発生挙動が複雑になり、把握するのが困難です。本研究ではその損傷モード(樹脂割れ・界面剥離・層間剝離・繊維破断)をアコースティック・エミッション(AE)法と呼ばれる、損傷音を捉える非破壊検査手法を用いて解析することで、いかなる場合でも損傷モードを明らかにすることを目的としています。また、地球資源の有効活用としてWood Plasticsが注目されています。本研究室でも、セルロースナノファイバー・マイクロファイバーを用いたWood Plasticsの作製および評価を行っており、構造部材として用いることが可能な複合材料の作製を目標としています。
接着に関する研究

構造部材、特に航空機に用いられている材料は近年軽量化のためにCFRPの利用が増えています。このCFRPを接合する方法は機械締結(ボルトなどのファスナーによる締結)が行われていますが、この方法では重量がかなり大きい(全体の5%程度)、またCFRPに穴をあけることによる応力集中が問題とされています。そこで、ファスナーを用いない方法として接着接合が挙げられ、期待されています。しかし接着接合には超音波検査でも検出が困難な弱接着という問題があり、それを解決しない限り接着接合のみでの接合が実現できません。本研究室では、接着の現象解明から、非接触での検査方法の確立、弱接着の特性評価などを行い、将来的には航空機の検査に用いられるような検査方法を開発しています(JAXA、日産アークとの共同研究)。
生体に関する研究

病院において寝たきりの患者、また手術の関係で動けない患者さんなど、体の一部に常に一定の場所に圧縮応力がかかる状態において、褥瘡(床ずれ)が生じます。ひどい患者だと傷口の奥に広がるポケット状の傷ができてしまいます。このような状況にどのように力学的な負荷がかかっているか、またその負荷によって傷がどのような応力を受けるのかを明らかにすることで、患者のケアだけでなく手術の指針を力学的な面から作成することを目標としています(国立長寿医療研究センターとの共同研究)。
またこの褥瘡において傷口に生じる肉芽組織についても力学的特性を明らかにすることができれば、薬剤の有無・異なる種類の薬剤などの効果を明らかにすることが可能になり、薬剤の選定理由を力学的に明らかにすることを目標としています。(星薬科大学との共同研究)。
新材料に関する研究

従来の制振材料は、振動エネルギーを熱エネルギーとして放出することにより、振動などを吸収しています。本研究室では、熱エネルギーだけでなく、電気エネルギーとしても振動エネルギーを吸収できる材料を開発しています。また、一般的にかなり脆性的な材料であるポリ乳酸を延伸加工することにより、元の強度・弾性率の3倍程度の特性を有する材料を作製しています。このように新しい材料の作製・提案なども機械工学・化学の知識を融合することにより可能としてきています。
